イオンシネマ

イオンシネマ

シネマコンプレックスは、ひとつの映画館にて、複数の映画を外国映画や日本映画に関係なく上映する映画館の形態になっています。いわばミニシアターを集めたような映画館です。映画の観客動員数が低迷していた頃に、何とか映画館の観客動員数を増やすために苦肉の策で作られたものでしょう。

シネマコンプレックスの中には、映画会社が運営するものと独立系のものとがあります。イオンシネマは独立系のシネマコンプレックスになります。映画会社系列のシネマコンプレックスでは、やはり親会社の映画を中心に上映されることが多くなりますので、その点においては、独立系のシネマコンプレックスの方が、自由な企画が可能だといえます。しかし、独立系といえども、配給を受けるために、配給会社との関係は微妙です。映画会社も配給するにあたっては、競合他社との併映より、映画館の系列化を図ろうとするのは当然の戦略です。そこで資本力のあるなしが、シネマコンプレックスの生命線になってきます。

イオンシネマのようにイオングループをバックにいれば、いろいろな面で有利といえます。クーポンサービスやイオンカード会員の優待サービスなど、さまざまな特典で、観客動員数を稼ぐこともできます。イオンの集客力についていえば、イオングループのスーパーやショッピングモールに併設することによって、小売店ビジネスとのコラボレーションで相乗効果が期待できます。映画会社にしてみれば、幅広い観客層が集まるイオンシネマなどでの上映は、他社の映画との併映でも、十分にメリットのあるものとして考えるでしょう。

イオンシネマの現在の映画館の数は7館ほどですが、ほとんど首都圏以外の地方都市に作られています。これからもわかりますように、イオンシネマは単独に興行するシネマコンプレックスではなくて、イオンのスーパーを前提としたイベント施設として考えられています。何らかのイベントや総合施設を備えたショッピングモールとしての業態への移行が模索されている最中と言えるでしょう。スーパーも従来の大型小売店として、他社との差別化ができにくなっています。イオンシネマは、その意味で、イオングループののイベント戦略、もしくはアミューズメント戦略の一貫として捉えられるべきものだと思います。

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