ドルチェ

ドルチェ

ドルチェというイタリアのお菓子はご存知でしょうか。現在のように、豊富な食材や保存方法がなかった時代は、小麦粉や蜂蜜を使った焼き菓子が主流だと考えられています。 ドルチェもその例にもれず、素朴な味わいを持ったイタリアの伝統的なお菓子です。イタリアのお菓子といえばティラミスやジェラートが有名ですが、ドルチェは、ファオカッチオと同じ小麦粉で作られた焼き菓子になります。 歴史は古くローマ時代からはじまるとされています。

イタリアの中でもドルチェの作り方は、その地方の持ち味で個性豊なバリエーションがたくさんあります。 ドルチェは、ヨーロッパにおいて最も初期のお菓子の原型と言えます。 ルネッサンス以降は、メディチ家の隆盛にともなって、ヨーロッパ全土にイタリアのお菓子は紹介されてきましたが、基本的に体系だった調理法はなくて、あくまで家庭料理の延長線上にあるお菓子です。 近代になってドルチェのレシピーも文書で記録されるようになりましたが、基本的な作り方自体は、ローマ時代のものが継承されてきました。

甘味料といっても、現在のような砂糖は当時のヨーロッパにはなくて、もっぱら蜂蜜が使われていました。古代においてはパンと区別なく食されていたと考えられます。 ドルチェは、小麦粉などの穀物の粉を原料として焼きあげるところは、パンと同じです。パンともピザとも呼べそうなものでした。 近代になって、食材が増えるにしたがって、ドルチェの定義も変わり、イタリア料理全般のデザートの総称として用いられるようになりました。パンとの決定的な違いは、甘味料が加えられたことです。 小麦粉と蜂蜜に、乳製品、とくにチーズなどが混ぜられて、初期のドルチェは作られていました。

ジェラートとは違ったイタリアンテイストのアイスクリームといったところです。ドルチェも時代とともに大雑把なカテゴリーになっているようです。 だいたいにおいて、イタリア料理はアバウトですので、パスタの例を見るまでもありませんが、大雑把なカテゴリーで料理を括ってしまう傾向があります。最近では、アイスクリームのハーゲンダッツでもドルチェと呼ぶ製品を出しています。 伝統的なドルチェを売っているお店もできてきていますが、基本は素朴な家庭料理ですので、ご自分で作ってみることをおすすめします。見た目はティラミスのようです。 ジェラートのお店でも、名前にドルチェとつけているお店もありますので、本来、焼き菓子としてのドルチェの影も薄くなっています。

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