ムービックス

ムービックス

ムービックスとは、松竹系のシネマコンプレックスです。ムービックスは映画興業がメインになっていますが、インターネットのWEBサイトや携帯サイトを活用したチケット予約や、上映映画の情報などを配信するほか、事業展開として提携企業を積極的に募集して、地方への進出を図っています。1990年に設立され、現在傘下の劇場は全国に20を数えます。正式名称は、株式会社松竹マルチプレックスシアターズです。

ムービックスも会員のカード発行やその優待サービスなどいろいろ行っていますが、大規模な事業拡大に対する資金調達は苦労しているようで、自社で劇場建設はあまり行わず、既存の施設を改装する形で、コンテンツと運用ノウハウを供与して提携企業を求める戦略にでています。見方を変えれば、飲食店のフランチャイズのようなもので、苦心の後がうかがえます。

ムービックスの提携条件をみると、用地面積や商圏内の人口など、こと細かに設定していますが、特に目につくのは駐車場の広さやモータリゼーションを意識した立地など、劇場の大型化とともに、商圏をモータリゼーションによって、かなり広範囲に見込んでいる点です。今までのシネマコンプレックスとは、ちょっと違った視点で事業拡大を狙っていることがわかります。シネマコンプレックスと言うと、すぐに都市圏を中心とした集客力のある商圏を思い浮かべてしまいますが、ムービックスにおいては、郊外型のファミリーレストラン的な発想で集客を考えているようです。

一方、劇場内部の内装は空港のようなオープンな雰囲気をベースにした、他のシネマコンプレックスと同じようなコンセプトになっていて、それほど変わりばえしませんが、映画の上映だけではなく、付帯施設として売店やレストラン、カフェなど複合的なアミューズメント施設としての機能を持たせることによって、収益性を高めようとしています。

手法的にはどこのシネマコンプレックスでも取っている手法と言えますが、問題は上映するコンテンツが重要です。ロードショーのように最新の映画を配給し上映することで、投資回収のサイクルが短くなる反面、映画の成功失敗がすぐに判明してしまい、きついリスクを負うことになります。映画ファンや一般の観客の動向を吸い上げるのが、日本映画の会社は下手ですので、今後ムービックが松竹のなかで、どのような位置づけになるかは関心あるところです。他の業界では一般的ですが、顧客のニーズを現場からどう吸い上げ、映画製作の現場に反映するかが、ムービックスひいては松竹の最大の課題といえると思います。

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