日商簿記

日商簿記

日商簿記とは、日本商工会議所や地方の商工会議所が行う簿記の検定試験を意味します。簿記検定としては全国経理教育協会の簿記能力検定、全国商業高等学校協会の簿記実務検定など、いろいろありますが、法制的い認められたものは、日商簿記検定だけです。したがって税理士や公認会計士は、日商簿記の検定に受かっていることが受験資格になります。 正式には「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」という長い名前です。

日商簿記の資格には四級から一級まであり、試験科目は商業簿記、工業簿記、原価計算、会計学とあります。資格のランクによって受ける科目の数や種類が違ってきます。四級と三級は商業簿記で、複式簿記の基礎編とも言うべきレベルです。商業に関する実務や基本理論を試されるものです。二級から工業簿記が加わってきます。工業簿記とは製造業などの業種に使われる原価計算を中心にした簿記を意味します。一級になると商業簿記、工業簿記に会計学と原価計算が追加されて、総合的な簿記の知識が問われます。

日商簿記の一級を取得しないことには、公認会計士や税理士の試験を受けることができませんので、とうぜんそのような資格を目指す人には、日商簿記一級は必須の資格になってきます。日商簿記が商工会議所法等で定められているのは、商業にしても、工業にしても、取引をする際の会計資料としての基礎になるからです。株式会社で株を公開する場合は、情報公開義務として会計諸表も同時に公開することになります。対外的な意味合いと内部的な意味合いがあって、対外的には、銀行からの融資や新規の取引の場合、自社の会計状態を示す意味で、損益計算書や貸借対照表を提示します。

そのような会計諸表を作成するに当たって、簿記は必要になります。簿記で会計諸表を勝手な会計規則で作ったのでは取引が成り立ちませんので、共通の会計規則が必要となります。その役割を負っているのが日商簿記の会計規則ともいえます。そのような観点から社員に日商簿記検定を受けさせる企業もあります。日商簿記をベースに作られた会計諸表は、対外的な資料として提示するばかりではなく、経営判断を行なう時にも重要な基礎資料となります。

簿記の重要性は、企業合併が当たり前になってきた昨今では、そのニーズが増してきたと言えます。企業を買収するにしても合併するにしても、相手先の財務内容を把握しなければ何もはじまりません。今後は、ビジネスのグローバル化に伴って、国際標準の会計規則に則った簿記の知識が求められてくると考えられています。 そこで財務分析に必要な知識として、日商簿記などの会計知識が求められてくるわけです。

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