さわかみファンド

さわかみファンド

さわかみファンドはファンド会社であるにもかかわらず、海外顧客向けの有価証券の売買の発注を頻繁に行なっていたということで、金融庁から1か月の行政処分を下されたことで、一般の人にも知られるようになりました。 さわかみファンドはもともと大手証券会社とは一線を隔す形で、一般投資家から資金を募って、独自の資金運用手法によって投資ファンドの世界では人気を博していました。

さわかみファンドの設立は1996年です。 設立者の澤上篤人氏の長期投資を基本にした安定運用と売買手数料無しで、運用益の1%を手数料として取る以外は、経費もかからないため、良心的な投資ファンドの姿勢が、多くの個人投資家から歓迎されていることは当然のことです。 2005年には運用資金が1000億円を超え、メガファンドととして着実に発展してきました。

スモール・イズ・ビューティフルを座右の銘にし、低コストオペレーションに徹して、余剰収益は極力顧客に還元する姿勢を取っている限りにおいては、一般投資家から支持されないわけがないでしょう。 ファンド購入代金の振込時の振込手数料ぐらいしか経費がかからず、ファンド運用上に発生する監査費用、信託事務関連費用などは、さわかみファンドの運用益から支払われることになっていて、その点でも画期的と言えます。 さわかみファンドの組織規模は数十人と小規模です。 設立当初からサラリーマンなどの個人資産を増やすことが、さわかみファンドの目的とされていました。

メガファンドになった時点で、何らかの戦略変更がなされたと思いますが、運営組織自体が運用する資金量に見合ったものであるかは、十分再考されるべき内容だと思います。しかし今回のような実害はないとはいえ、行政処分が下されたことは、澤上篤人氏から子息の澤上龍氏へ世代交代などの内部的な変移もともなって、さわかみファンドのカリスマ性に、少なからず影響があることは確かだと思います。

さわかみファンドには、投資信託業界の健全化のためにも、そのようになって欲しくはないと思います。 下手にリスクヘッジを取って、損の上塗りをするのが通例です。 さわかみファンドの発展が、良くも悪くも澤上篤人氏のカリスマ性に頼ることが大きいことでしたので、一線を澤上篤人氏が退くようであれば、問題も生じて2世を後継にする場合も、単なる今までの方針を継続させるだけなら、おそらく今回のような不祥事も起こりうる話だと思います。 村上ファンドの例をみるまでもなく、資金が潤沢になることで、着実な運用実績を果たす義務も増大してリスクも大きくなります。

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